補  足
 

※1 中学数学と高校数学の違い

 

中学数学と高校数学の大きな違いは、知識の複雑性と知識ごとの関連の深さの2点だ。つまり、単純に内容が難しくなり、そして知識と知識が相互に関連し合っていくのが高校数学の特徴である。

例えるなら、体育の時間に先生が「ジャンプをしてみせるからみんなも真似してごらん。」と言って、生徒が真似をしてジャンプする、これが中学数学。単純なものを理解し真似をする、特に覚えることにも苦労しない。

ところが、高校数学は先生が生徒にバスケットボールの試合の映像を見せて、「みんなもこんな風に試合をできるようになろう。」と言う。まずはフットワークからはじめて、ドリブル、パス、シュートと先生がみせる技術を見て真似る。ここまではなんとかついていける(この段階で挫折してしまう子もいるが…)。そして、「一通り基礎的な動きはできるようになったし、試合をしてみよう。」と先生は言う。本来、生徒たちは「そんなのできるわけない。」「もっと練習をさせてください。」

と口々に言うはずだが、中学数学と高校数学の違いに気づいていない子は、「分かりました!華麗にシュートを決めてきます!」と豪語する。

なぜなら中学生の頃は反復練習などせずとも、理解し真似をするだけで華麗にジャンプできていたからである。しかし、ドリブルでボールを運び、パスを回し、フリーな人を作ってからシュートを決めるという基礎的な動きの関連も理解せず、ぶっつけ本番で華麗にシュートを決めるのは非常に困難なことであり、それができるのはごく一部のとんでもなく運動神経のいい子くらいだ。

 

※2 脳の構造の変化

 

小学1年生の頃を思い出してほしい。当時のぼくたちは、掛け算の九九というわけのわからない数字の列を、語呂合わせとも呼べない「いんいちがいち、いんにがに…」という謎の呪文とともに覚えた。あんなに大量の呪文をよく覚えられたなと思うわけだが、当時を振り返ってみると、今思っているほど苦労はしていなかったように思う。

実はこれにはちゃんとした理由があって、幼少期の脳はこの単純暗記とも呼べる、特に意味のない文字や記号、数字などを覚える脳力に長けているのだ(幼少期は根気強さもあるわけだが…)。しかし、この単純暗記の脳力は歳を重ねるごとに薄れていき、高校生になる頃には別の脳力が高まってくる。それは、物事の繋がりを理解しながら覚える脳力だ。

このことを知らずに、よく分からないけどとりあえず解き方を暗記するという方法を取ってしまう子がいるが、中学生の頃よりも多くの労力が必要になる上に、※1でも説明した通り知識と知識の関連が深い高校数学においては非常に効率の悪い勉強方法である。つまり、公式の使い方や解法の発想を理解しながら勉強することで、

「この解法はあの解き方に似ているな」

「この公式はあの公式から導けるんだ」

と、バラバラに思えた知識が繋がり、高校生のきみの脳に最も適した暗記ができるようになるんだ。

 

※3 数学の階層

 

数学のレベルには4つの階層がある。それは、

1.計算トレーニング

2.解法の理解・暗記

3.発想の理解・暗記

4.推論トレーニング

である。

1.『計算トレーニング』

公式を暗記し基本的な計算ができるか、例えば因数分解や解の公式などを用いて2次方程式が解けるかといったレベルを指す。このレベルでは、理解云々よりもどちらかといえば、演習を繰り返しながら体で覚えていくという方が正しい。ただし、どういう場面で公式を使えばいいのかといった公式の使い方に重点を置いた勉強法が望ましい。

2.『解法の理解・暗記』

思考を伴う問題、例えば2次関数の最大値・最小値を求める問題などの解法を理解し暗記するレベルを指す。「なぜ?」という疑問が消えるまで解答を読み込み、時には先生に質問するなどして、1つ1つの式変形や結論に辿り着くまでの道筋を正しく理解し、その解答を自分の力で再現できるまで演習を繰り返す。実はここまでできていれば、学校の定期テストで平均点以上は確実に取れる(数学の問題がやたら難しい一部の高校を除くが…)。なぜなら定期テストは限られた範囲の中で、しかも問題集にあるような基本的な解法パターンの問題がほとんどだからだ。しかしながら、模試で点数が取れない子や受験生にとってはこれだけでは足りない。

3.『発想の理解・暗記』

そもそもなぜその解法で解くのかといった発想・方針の立て方を理解し暗記するレベルを指す。解法の暗記までで対応できるのは基本的には同じ形式の問題のみだが、この発想力を鍛えていくことで初見の問題(と思っているだけで、既に知っている解法で解けることが多いが…)が出題されても、問題の本質を的確に捉え、どう対応していけばいいのかといった発想ができるようになる。

4.『推論トレーニング』

難関大の入試問題などを解く際に必要な、推論しながら解く力を養うレベルを指す。数学において難問と呼ばれる問題はいくつかの解法パターンを融合させていたり、方針が見えにくく途中で方針を改めなければいけなかったりする。そういった問題は今まで覚えてきた発想や解法がそのまま使えることはあまりなく、自ら仮設を立てながら、こうだとしたらこの解法で、ダメならあの解法を試してみようという様に臨機応変に対応する力が求められる。

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